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2009年8月5日
第3回宇宙旅行シンポジウム実施の概要報告
 第3回宇宙旅行シンポジウムが、日本ロケット協会、日本航空協会共催で、さる8月1日(土)の午後、港区新橋の航空会館で開催されました。参加者は204名を数え、会場からの熱気が伝わってくるシンポジウムとなりました。以下に概要を報告します。
 日本ロケット協会の小野田淳次郎会長の挨拶、稲谷芳文理事の経過報告の後、以下のプログラムが展開されました(敬称略):
1.基調講演
「宇宙開発ビジョンと宇宙旅行」 秋山豊寛(日本初の宇宙飛行士)
2.一般講演
「世界の宇宙旅行をめぐる動き」 大貫美鈴(SpaceFrontierFoundation)
「世界各国の有人宇宙開発と日本の立ち位置」 橋本安男(日本航空協会/桜美林大学)
「火星で生きる」 山下雅道(宇宙航空研究開発機構教授)
3.パネル・ディスカッション
パネラー
秋山、大貫、橋本、
浅川恵司(クラブツーリズム/ヴァージン・ギャラクティック社の弾道宇宙旅行について説明)
川戸博史(三菱重工/同社の弾道宇宙機の構想について説明)
コーディネーター
的川泰宣(子供・宇宙・未来の会会長)
第1回、第2回と比べ、現実味の高いシンポジウムになりました。以下に、プログラムごとに、順を追って、概要を紹介します。
1.基調講演
「宇宙開発のビジョンが、『大国の威信』という極めて20世紀的な動機を持ったものから脱皮して、宇宙開発の本来の理想、人類の願いに沿った『理念』から出発することが肝要である」ことが強調されました。「地球上の『いのち』のエネルギーを高らかに発揮するために欠かせない宇宙への夢を作り上げよう」と、熱く呼びかけられました(秋山)。
基調講演で熱く語る秋山さん

2.一般講演
 まず現在の民間宇宙旅行の取り組みの現状が豊富な資料をもとに詳細に語られました(大貫)。次に世界の有人宇宙開発の取り組みと比較しながら、現在の日本の宇宙基本計画に『有人宇宙輸送計画』の視点が欠けていることの指摘がされました(橋本)。また「地球を救い火星の食を展望する」カイコの手作りクッキーを試食してもらいながら、日本が世界に貢献できる宇宙農業の話がされました(山下)。

3.パネル・ディスカッション
 さる6月に宇宙開発戦略本部が提起した「宇宙基本計画」に対して多数寄せられたパブリック・コメントの分析から、4つの論点が議論されました。
(1) 日本人の『いのち』観……「日本人は命を大切にする国民だから、有人飛行への抵抗が大きかろうという感じ方があるが、プロとして宇宙を目指す人々の間においては、その意識に差があろうはずはなく、また国民がそのように臆病であるという論議は、日本の人々が遣唐使以来乗り越えてきた勇気ある歴史の選択を愚弄するものである」との意見が出されました。また「宇宙輸送の技術の成熟度の高まりさえあれば、一般の人々の考え方も変わるものであろう」とか「冷静に分析すれば、そもそも有人宇宙船のリスクは十分許容される範囲内にある」との指摘もなされました。
(2) 国際協力か自主技術の開発か……「日本の財政基盤の貧弱さから、『有人宇宙輸送を外国に頼るべし』との論があるが、これは、そもそも出発点のところに結論が内包されているという点で、議論の方法が拙劣である」という意見が出されました。またパネル後の話の中では、「国際協力と自主技術の問題は、『ゼロか一か』の議論にしないで、『有人輸送を国としていつごろまでにマスターする』という国としての目標を明確に定めることを第一とし、その上で財政状況に見合った戦術を上手に策定すべし」との助言がなされました。
会場と一体となったパネル・ディスカッション
(3) 「二足歩行ロボット」について……「二足歩行ロボットに有人飛行の幻影を見ることはできないだろう」という意見、「二足歩行ロボットを当面の目標とすることは有人輸送を先送りにし、葬ってしまうという結果につながる恐れがある」という意見、「何のために月に行くのかを考えた場合、ロボットの形態・機能としてはそのミッションを最も機能的に達成できるものを選ぶべきであろう」との意見などが出されました。これは戦略本部に寄せられたパブリック・コメントの多くと一致した見解であり、また会場からは、「基本計画の文章には【二足歩行ロボット等】という“等”の字が付け加えられており、戦略本部の真意も二足歩行に固執しているものではないのではないか」というコメントや「二足歩行を提案した真意も、有人輸送の火を消してはいけないとの憂慮にあったのではないか」というコメントも出されました。
(4) 大量輸送の宇宙旅行……現在世界の主流になっている使い捨てロケットによる宇宙飛行では、みんなが宇宙旅行に行くことは不可能であろう、という観点から、大陸間の高速ビジネスフライトを先行させる宇宙航空機・宇宙旅客機という考え方と、直接宇宙への有人大量輸送をめざすロケットの開発という選択肢が出され、「いずれこの点について真剣な議論をしよう」と提案されました。
 シンポジウムの閉会にあたり、日本航空協会の湯浅康司副会長から挨拶があり、次回開催にむけて鋭意準備を進めていく旨の表明がなされました。

 いよいよ来週から有人月計画の懇談会が開催されます。シンポジウム後の会場のあちこちでは、1年間をかけて練られる日本の月探査への取り組みの議論が、宇宙旅行を待望するこのシンポジウムでの熱い声やパブリック・コメントの真剣な声をどれだけ反映できるのか、日本の人類全体への貢献の大事なポイントとして見守りたいとの意見交換がなされていました。

 熱気にあふれ、次回の宇宙旅行シンポジウムが楽しみなムードの漂う集まりとなりました。
以上
宇宙旅行シンポジウム事務局


第3回宇宙旅行シンポジウムを開催しました
1.日時 2009年8月1日(土曜日)13:00から16:30
2.会場 航空会館 7階 大ホール
 (東京都港区新橋1-18-1 電話:03−3502−1206)地図はこちら
3.シンポジウムプログラム
基調講演 (13:00〜13:45)
「宇宙開発ビジョンと宇宙旅行」 秋山 豊寛 宇宙飛行士/ジャーナリスト

休憩(5分)

一般講演 (13:50〜15:05)
「世界の宇宙旅行をめぐる動き」 大貫 美鈴 スペースフロンティアファンデーション理事アジア圏代表
「世界各国の有人宇宙開発と日本の立ち位置」 橋本 安男 日本航空協会/桜美林大学客員教授
「火星で生きる」 山下 雅道 宇宙航空研究開発機構教授

休憩(10分)

パネルディスカッション (15:15〜16:30)
パネラー
秋山 豊寛
大貫 美鈴
橋本 安男
浅川 恵司
クラブツーリズム(株)事業開発部長
川戸 博史 三菱重工(株)宇宙機器技術部基礎設計課主任
コーディネーター 的川 泰宣 KU-MA(子供・宇宙・未来の会)会長
シンポジウムプログラム委員
野中 聡(日本ロケット協会)
佐藤 智徳(日本航空協会)
TEL 03-3502-1206
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「太陽系大航海時代の予感」
宇宙航空研究開発機構 ・ 宇宙科学研究本部
宇宙航行システム研究系教授
川口 淳一郎
「JAXA産学官連携シンポジウム」
 「宇宙ビジネスの未来、新たな提言」に参加して
航空宇宙輸送研究会 顧問
久保園 晃
「宇宙旅行実現の可能性」
日航財団 主任研究員
橋本 安男
「第2回宇宙旅行シンポジウム」開催報告
航空宇宙輸送研究会 事務局
「第1回宇宙旅行シンポジウム」開催報告
航空宇宙輸送研究会 事務局

航空宇宙輸送研究会
 第1回研究会を2001年8月1日に開催しました。
その折に、宇宙科学研究所の稲谷芳文先生より「RLVの実験成果報告」と題した記念講演をいただきましたので要旨をお届します。

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