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 2025年12月 航空遺産写真 今月の1枚
ニューポール24の胴体

航空遺産継承基金事務局で所有している写真を毎月1枚ピックアップしてご紹介します。 

 甲式三型(ニューポール24)練習機の胴体が、外布を剥がした状態で置かれています。男が下駄を脱いで操縦席に座っています。後ろには別の機体、中島五型J-TEIMも置かれています。1925年頃、民間の飛行機整備工場でオーバーホール中に撮影された写真と考えられます。甲式三型(ニューポール24)は、1917年から陸軍で使用され、その後払い下げ等で民間でも多く使われた飛行機です。羽布が剥がされた状態のため登録記号や所属は不明ですが、内部構造が分かる写真となっています。
 奥に置かれた機体は、胴体に「J(空白)IM」と書かれていることと、機体の形状から中島5型J-TEIMと分かります。J-TEIMは、静岡県で福長飛行機製作所を経営していた民間飛行家、福長朝雄が一時期所有していた機体です。写真の撮影場所は、福長飛行機製作所の格納庫かもしれません。

写真:陸軍の甲式三型(ニューポール24)。背景に特徴的な気象観測所が写っており、所沢飛行場(東京)での撮影と分かります。

写真:アルバムに貼られた写真の様子
 冒頭の写真は、故・藤田俊夫氏から寄贈された写真アルバムに収められていたものです。生前の藤田氏に伺ったところによれば、このアルバムには、元々『航空情報』編集部が所有していたものの、不要になって藤田氏がもらい受けたという来歴があります。アルバムを開くと、陸軍航空隊の公式写真、民間飛行家の記念写真、空中からまかれたビラといった雑多な大正期の航空史資料が、ゆるやかな脈絡を持って貼り付けられたり、あるいは剥がされたりした跡があります。このことから、このアルバムは1920〜30年代に航空雑誌(例えば『航空時代』など)の記者が収集した資料を貼り付けたアルバムではないかという仮説を立てることができます。

 航空遺産継承基金では、今後も引き続き所蔵資料の保存・調査・公開に取り組んで参ります。

参考文献

藤原洋・藤田俊夫、2013、『それでも私は飛ぶ 翼の記憶1909−1940』日本航空協会(在庫あり):今月の写真の初出
河守鎮夫、中西正義、藤田俊夫、藤原洋、柳沢光二編著、2016、『J-BIRD 写真と登録記号で見る戦前の日本民間航空機○満州航空・中華航空などを含む』日本航空協会(在庫あり):機体の情報の出典
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一般財団法人 日本航空協会
航空遺産継承基金事務局

 

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