歴史にみる模型飛行機の顔さまざま
(5)バルサ革命:模型飛行機は特殊な材による特殊な構築物である (1930年頃)
歴史
1. はじめに
「模型飛行機を作る」という活動には、日曜大工や諸々のホビー工作(楽しみのためのもの作り)と同類の「顔」があります。
但し「バルサ材で組み立てられた、特殊な軽い構造体」という切り口で一線を引いて、特定・区別することが出来ます。ちなみに、模型店にある木の材料は、大部分がバルサです。
「バルサ材を使う」と言うことは象徴的な条件で、その意味するところは「飛行機」(空を飛ぶもの)ということを制約条件にした、独特な「ホビー」(もの作り活動)であると言うことです。
飛行機を作る場合は、重量と強度が同時に評価され、管理されますが、通常のホビー工作は必ずしもそうではありません。
「あなたの作った椅子の重量は何gで、何kgまで座れますか???」
日曜大工で椅子を作ったとき、一般より100g軽く仕上げたとき、あるいは常識的にありえないデブが座っても壊れない場合でも、それが「優れた作品である」と評価されることはまずありません。従って、作品の定量的な指標である重量と強度は、製作に当たって特別に管理されません。
一般のホビー作品は、美しさとか使い心地などのような情緒的・定性的な視点で優劣が判断されます。
然るに模型飛行機は外観よりも、動かしたときに計測された性能によって、出来栄えが評価されます。つまり、3分飛べる模型飛行機は、どんなに不細工でも、2分しか飛べない模型飛行機より優れているのです。重量や強度の管理はそのためです。
模型飛行機、あるいは飛行機一般に付いて、性能が優れているものは美しいと言われてはいますが、設計者は効率・性能を最適化すべく造形を行なっているわけで、美的な追求の結果ではありません。(模型飛行機の美醜に付いては別項で取り上げる予定)
このようなスタンスで模型飛行機を作る場合、「バルサ」という素材はきわめて相性がよく、導入されてから急速に普及し、模型飛行機に関連するさまざまな分野の活動に対し大きな影響を与えました。あえて「革命」と言う言葉を使ったのは、バルサ材の導入による総合的な影響が大きく、急激であったからです。
2. バルサ材の劇的な登場
バルサ材は1930年ごろから急激に模型飛行機に使われるようになり、機体の製作や活動に極めて大きな影響を及ぼしました。まさに、革命的な素材です。
バルサ材の登場は劇的でした。1930年のウエークフィールド杯競技会(前回参照)、つまり模型飛行機の世界選手権大会で、アメリカチームがイギリの競技会場に持ち込んだバルサ製の機体は、2倍以上の大差をつけて地元イギリス機を圧倒してしまったのです。たとえて言うならば、100mを5秒で走られてしまったようなものですから、在来の材料や工法の機体では全く歯が立たなかったわけです。
このときの競技は、ゴム動力による滞空競技でしたから、軽いバルサでどれくらい得をしたか概略の推算が可能です。仮にイギリス機の全重量が200gで、その60g(30%)が動力ゴムであったとします。ゴム1gは一定のエネルギーを蓄積して、その放出によって機体を空中に支えます。そしてイギリス機が1分(60秒)滞空したとすると、ゴム1gは200gの機体を1秒間支えたことになります。アメリカ機は、バルサを使って、機体の構造重量を半分に軽減したとしましょう。イギリス機の構造重量は(200-60)=140g、従って、アメリカ機の構造重量は70gで、ゴムが同じ60gならば全重量は130gです。
全重量が200gから130g(65%)に減ったわけですから、機体を空中に1秒間支えるゴムの量も65%(0.65g)になるわけで、60gのゴムならば
(60秒/60g)/0.65=92秒
滞空します。さらに、主翼面積は変えていませんから、翼面荷重(=機体重量/主翼面積)も65%に減ります。飛行速度と沈下速度は、翼面荷重の平方根に比例しますから、80%くらいに下がり、滞空時間はその分だけさらに延長されます。
92秒/0.8=114秒(60秒の1.9倍)
この衝撃によって、バルサ材は模型飛行機の世界に急激に広がりました。その変革の大きさは、単なる「便利な材料」であるだけに止まらず、
バルサ材だけで、「模型飛行機1機の全体」を作ることが出来た。
バルサ材の加工には、「カミソリの刃」しか必要ない。
バルサ材の接着には、「1種類の接着剤」があれば良い。
と言う、3拍子揃った独占性を持っていたからです。
カミソリの刃(片刃・両刃)とモデリング・ナイフ(カッター)で、殆ど全部の工作が可能
カミソリの刃は、電気カミソリ普及前には大多数の男性が使用し、どこでも安く容易に入手できた
それまでの模型飛行機は、複数種類の硬い木、合板、複数の接着剤や釘・ねじ、ハリガネや金属の板、傘の骨など、多種の重い材料を使っていました。だから材料を買い集めるのも手間がかかり、材料置き場も混雑していました。また、必要な工作道具のリスト項目も多く、中にはノコギリやカンナやカナヅチなどの重切削・重加工に使う大工道具も入っていて、大きな道具箱が必要でした。
バルサに切り替えた場合、材料置き場は単一材だけになり、道具箱もほとんどカラになりました。材料の加工も薄く鋭いカミソリの刃だけで用が足り、ノコギリやカンナなど重切削工具は要らなくなったからです。釘の類も必要なくなり、接着材で接着するときも虫ピンを指でつまんで突き刺して仮止めすることが可能でした。硬く重い材料では切削や固定など、それぞれの工程にコツが必要で、簡単には扱えなかったのです。
バルサ材の導入によって、模型飛行機作りが格段と簡単になったわけで、大人の世界(第2回「英国紳士の遊び」参照)を、子供の世界(第3回「学童教材」参照)に近づけたことは確かです。
同時に、より精密な仕上がりを可能にしたため、空気力学的な効率が向上しました。バルサ板を使うとリブ(翼の小骨)を簡単に量産できて、重量も増えないので、リブ間隔が狭く翼型を忠実に再現することが可能になります。さまざまな翼型の差異が明確になり、模型飛行機の理論的な面を深く研究できるようにもなりました。
3. バルサ材トリビア
バルサ材は、中米産の軽量木材です。平均密度は約 140 kg/m³(比重0.14)で普通の木材の1/3くらいですが、バラツキは100~200kg/m³と大きく、区別して使い分ける必要があります。 模型屋で「ハード」、「ソフト」など硬さ(重さ)別に販売している場合があり、工作図に同様な使用材料指定が記載されている場合もあります。ちなみに、国産木材の比重は、きり0.31、すぎ0.40、ひのき0.42、やまさくら0.67です。
中米の古代文明(5世紀以前)でバルサ製の筏が使われ、遠洋航海が行われていました。1947年にノルウェーの人類学者トール・ハイエルダールが、「ポリネシア人は南米・中部アンデス地帯から移住した」という仮説をたて、バルサの筏でペルーより東ポリネシア・ラロイア環礁まで自ら航海して、実証したことも有名です。約8000キロを100日余かけた漂流航海でした。
近代のバルサ材の利用は1920年代頃からであり、軽さ、加工性(削りやすさ)、熱や湿度の絶縁性などの性質によって、以下の用途に使われています。
①実物の航空機
1930年にNACA(現NASA)は第354号報告書(NACAテクニカル・レポート)を発表し 、スプルースなどの木製航空機用の木材と共に、バルサ材を収録している。
第2次世界大戦では、イギリスのデ・ハビランド社で木製のモスキート偵察・爆撃・戦闘機が多数作られ、その材料はバルサ材を間に挟んだ合板であった。時代が下り、本格的なジェット戦闘機が出現してからも、バルサ材は同じ用途に使われアメリカのF4D戦闘機では、バルサ材を薄いアルミ板で挟んだ成型材が使用された。
第2次世界大戦の傑作機のひとつで爆撃・偵察・夜間戦闘機型なども活躍した。
同社は軽飛行機・輸送機などモスキートに先行する木製傑作機を生産していた。
②映画セット用のバルサ材
ハリウッドで、活劇場面で盛大に壊される大道具・小道具はバルサ製。
バルサ材は工作性に優れ、手早く形に作れるから、耐久性を要しない映画セットには好適。また、柔らかく簡単に壊れるので、活劇場面で盛大に壊される物をバルサで作ると、俳優に対するダメージが少ない。京都太秦の撮影所の近くにも映画向けバルサ材の取扱店があった。
③建築に使われたバルサ材
アメリカの1930年頃の初期の高層建築で、風で振動するのを抑えるため、軽くて圧縮に強い木材を梁の内部や壁に充填する建設技術が一般化し、バルサが使用された。
④バルサ材の軽さや絶縁性を利用した、その他の用途
・船の「浮き」、サーフボード
・LNGタンカー船の断熱内張り
・核廃棄物運搬容器の内張り
「世界の有用木材300種」農林省林業試験場木材部編(社団法人 日本木材加工技術協会出版)には、バルサは319種の275番目に収録され『気乾比重0.16、世界で最も軽い木材とされる。用途としては、救命具材、絶縁材、玩具材、模型飛行機材』とされている。
4. 模型飛行機用のバルサ材
模型飛行機用のバルサ材は、翼の桁、胴体の縦通材など「構造材」にも使われ、曲げ・引っ張り・圧縮・ずれなどの荷重を負担するところが独特です。それ以外の用途(前項)のバルサ材は、充填材・成型材として使われ、上記のような荷重を負担しません。
「構造材」は、そこにかかる力の大きさによって、形や太さが決定されます。橋や建物の構造を考えてみると、必要な強さの棒状の材料が、力のかかる方向に組み立てられています。組み立てられた形は、変形できない三角形が基本単位です。
飛行機は軽くなければいけないので、材料の太さはさらにそぎ落とされ、必要最小限にされます。だからバルサ材は、細い角材や薄い板材の形で使われます。
充填材・整形材は、外観・外形の要求から形が決まり、そこにかかる力を負担することはあまり期待されていません。映画のセットで、彫刻のある神殿の石の柱をバルサで作るのは、手早く作れるからであって、本物と同じようにそれで何かを支えるわけではありません。充填材や断熱内張りにしても、それで外力を支えているわけではありません。
このような使い方の場合、バルサ材は厚い板、あるいは大きな塊のまま、必要な形に削り出して当該部品にします。
模型飛行機の場合も、バルサ材を整形材として使う場合があります。たとえば、機首、翼端など、三次曲面の部分は、板を張り合わせて作ることが困難なため、バルサの塊から削りだして作ります。しかしながら、残りの大部分は棒材(角材)や薄板材など構造材にしたバルサ材を、接着して組み立てて作ります。
バルサ材は、一般の木材に比べると軽く、軟らかく、弱いので、実物サイズの構築物では構造材に使うことはありませんでした。
第一次大戦の戦闘機は、木造で、現在の模型飛行機と同じような構造でしたが、スプルース(ヒノキ材の親類)など、バルサより数倍重く、硬い木材で作りました。だから前述のNACAテクニカル・レポート第354号は、スプルースなどの木製航空機用の木材には、引っ張りや圧縮に対する強度数値が詳しく収録されています。それに対してバルサ材に付いては、比重のみの記載であり、構造材として期待していないのです。
板材の切り出し方向によって、板の面と年輪の角度が変わり、曲げやすい板と
曲げ難い板が出来る。モデラーは、木目を読んで使い分ける。
5. バルサ革命以後の模型飛行機
バルサ革命以降、模型飛行機の製作は大幅に容易になりました。これが普及を促進して、模型航空活動の量的拡大につながったことは自明です。他方、模型飛行機の質的な充実に対する影響も見逃せません。その影響はやや複雑で、細かく分析する必要があります。
在来の木材に比べて密度が1/3のバルサ構造材を使った場合、同じ重量ならば3倍の体積の材料を使えます。たとえば、4隅に2㎜角(2㎜×2㎜)の在来材(たとえばヒノキ)の縦通材を使った断面が4角形の胴体(4角胴)の機体があったとしましょう。バルサ材ならば、縦通材の重量を変えずに12本(4本×体積3倍)使えるわけで、12角胴が作れます。時計の文字盤を見れば解りますが、これは限りなく丸胴に近い断面形で、形もよく空気抵抗も減ります。
模型飛行機に使う材料の太さは、そこにかかる力の大きさ(強度)から決まる場合もありますが、作るヒトのユビの太さや器用さで決まってしまう場合も少なくありません。上の例の縦通材の細さ(ヒノキの2mm角)がユビで扱える器用さの限界だったとすれば、強度は余っていて、もっと弱い材料で代替できるわけですから、バルサの2㎜角で足りるかもしれません。その場合は、縦通材の重量は1/3に減ります。
4角胴を丸胴に代えれば、空気抵抗が減り、空力的な効率が向上します。4角胴のまま、縦通材の材質だけをバルサに変えた場合は、機体が軽量化されます。一般論として、バルサ革命は模型飛行機の空力性能の向上と重量軽減の両方に貢献し、ともに滞空性能など競技成績を飛躍させました。上の例は、トータル効果を空力と重量とどちらかに集めたわけですが、たとえば6角胴や8角胴にして、両方の効果を折衷する場合のほうが一般的です。バルサ材をフルに使った模型飛行機は、在来の硬木製の機体の半分くらいの重量まで軽量化できます。
硬木製(バルサ革命以前)の機体(第5図)に比べて、翼・胴体ともに骨組みが細かくなっている。
機種は異なるが、バルサ製の機体(第1図)は同じ傾向になる。
6. バルサ製リブによる翼の性能の向上
バルサ革命の効果を説明するのに解りやすいので、前項では胴体を例に取りましたが、空力的な効果がモロに出た部分は主翼でした。主翼の断面(翼型)の形は、飛行機の性能を決めてしまう基本的な部分で、モデラーはその選択と忠実な再現に苦心し、努力しますが、それには適当な材料による適当な工法と構造が必要でした。
バルサの薄板から、同じ形のリブ材を何10枚もまとめて削りだす「サンドイッチ法」と呼ばれる工法があります。合板など、硬い薄板で正確な型板を2枚作り、その間にバルサの薄板を何10枚か挟み、ピンを通して両端の型板に倣って纏めて削りだすわけです。
リブ材の厚さは0.8㎜(1/32インチ)くらいまで落とせますから、30枚以上のリブ材を一度に削りだすことも可能です。つまり、スパンが1~2mの主翼ならば、リブ間隔を2㎝くらい(かなり狭い)にしても、片翼分のリブを纏めて作れるわけです。バルサの薄板製のリブ材は、リブの間隔を狭く出来ます。リブの間隔が狭ければ、張った紙のたるみが少ないので翼断面が正確です。
後年に実機の「高性能翼型」の風洞測定が数多く行なわれて、その翼型の座標(作図の資料)が発表されました。翼型は、コード(翼弦)を横軸(x座標)として、上面と下面の位置を一対のy座標で示した数値表で発表されましたから、モデラーも本物と全く同じ形の図が描けます。また、揚力係数・抗力係数などの風洞測定データも添付されていましたから、性能の評価も出来ます。このようなデータが、模型飛行機の参考書などによって一般のモデラーに伝達され、広く利用されました。
但し、同じ翼型でも、模型飛行機は実機より大幅に低速であったので、同じような性能を発揮しない場合がありました。模型飛行機の性能は、飛ばしてみて滞空時間を測定すればはっきりとわかります。高名な研究所が「優秀」と認定しても、模型飛行機との相性が悪ければ、野原の風とストップウオッチが明確に否定します。
しかしながら、翼が正確に設計どおりに作られていなければ、この判定は出来ません。
硬い木で作っていた時代は、リブを削って一定の形にすることが大仕事でした。加えて重くもなるために、リブの枚数を増やして間隔を狭め、正確な断面の翼を作ることは困難でした。リブの枚数を増やせるバルサ構造の翼という基礎条件が無ければ、たくさんの実機用翼型を選別して、模型飛行機の空力性能を向上させることが困難であったことは確かです。1930年代より、モデラーの空力理論知識が急速に向上したのですが、それにはバルサ構造の普及が大きく貢献しました。
正確な翼が容易に作れるということが、別項で取り上げる「翼型性能を評価する」と言う問題の基礎技術になります。模型飛行機の進歩は、さまざまな新しい空気力学上の知見を導入することによって可能ですが、それが機体製作に具現されなければ机上の空論に終わってしまいます。「実機と異なる空力特性を示すことがある」と言うことは、模型飛行機の重要な「顔」の一つなのです
軟らかいバルサ材は容易に纏めて削り出すことができたので、たくさんのリブを
細かく入れた正確な断面の翼が簡単に製作できた。
7. バルサ材は工作がやりやすい
木材が軽いと言うことは、ミクロ的には多孔質であるわけで、刃物で切りやすいのです。厚さ3㎜位までは、カッターや片刃のかみそりのような薄く鋭い刃物で、さまざまな形を簡単に切り抜くことが出来ます。硬い木、たとえば3mmの合板から同じ形の部品を切り出すためには、彫刻刀などの重切削用の刃物でも不足で、糸鋸を使うことになります。工作時間は10倍以上違うでしょう。1㎜以下の航空ベニヤでも、カッターで切り抜くことは簡単ではありません。
断面が正確な翼を作るためには、翼断面の形に切り出された小骨(リブ)を、気流に沿って細かく並べて、その上を紙などで被覆する必要があります。前述のように、多数のリブを必要とする場合、硬い木や合板で作るとなると大変な作業量なのです。
軟らかい木材にはピンや待ち針を容易に刺すことが出来るので、手軽に仮止めできて、作業を楽にします。硬い木だと簡単にピンが通らないので、仮止めに手間がかかり、時には割れてしまうので、やり直しが必要で能率が上がりません。
また、軽い木ほど強さに比べて接着面が広く取れるので、接着場所に補強をする必要がありません。一般に木材の強さは比重に比例しますから、2㎜角のヒノキ材(断面積4平方㎜)は、比重が1/3のバルサ材ならば断面積12平方㎜の角材に代替されるわけです。
同じ強さである両方の角材をT字型に接着する場合、バルサ材の接着面は3倍になり、継ぎ目の強度は3倍になります。現実に、模型飛行機が壊れる場合、硬い木で組み立てたものは接着部がはがれるのに対して、バルサ製のものは木部が破断します。
硬い木で組み立てる場合、接着部に三角の当て木をし、あるいは側面に薄い合板を当てて、接着面を増やす補強をします接着面が多いバルサ材の場合はこれを省略できますから、組み立ての能率は大幅に向上します。
草創期(1950年頃)の曳航グライダーの世界選手権大会に、バルサ製の機体が如何に早く作れるかということを実証したエピソードが残されています。ヨーロッパ大陸に列車で遠征したチームが、手荷物車に乗せた機体を紛失しました。すると、そのチームはバルサ材が現地で調達できたので、ホテルで一夜漬けで機体を作ったそうです。そして、成績はともかく、競技には参加したのです。
半世紀も昔の、メカニズムのつかない単純な構造の機体ではありますが、機体の仕様制限は現在のF1A級と同じで、翼幅が1.5mを超す大型機です。加えて旅先ですから、工作用具も限られます。それでも、バルサ材はカミソリの刃と接着剤さえあれば、機体に加工出来ますから、現実に競技に出場して飛んだわけです。
編集人より
大村和敏氏は元模型航空競技・ウェークフィールド級日本選手権者であり、模型航空専門誌にも寄稿されています。